2021.01.27 公開
モートン病
Morton disease
解説:松井 智裕 (奈良病院 整形外科部長)
モートン病はこんな病気
モートン病は足趾(そくし=足の指)へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害です。神経が圧迫される原因には、ハイヒールなどの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾(がいはんぼし)など骨の形態異常があります。ガングリオン(ゼリー状の内容物が詰まったこぶ)などの腫瘍が神経を圧迫する場合もあります。
40~60歳代の女性に多く、部位では第3趾(中指)と第4趾(薬指)の間が最も多く、次いで、爪第2趾(人差し指)と第3趾の間が多いとされています。
モートン病の症状
初期には歩行時に足趾の付け根(特に指と指の間)が痛くなります。症状が進行すると、足趾や足の甲への痛み、しびれといった知覚異常が生じることがあります。
モートン病の検査・診断
足趾の付け根の部位で足を横から挟むように圧迫して疼痛(とうつう)が誘発されれば、モートン病が強く疑われます(Mulderテスト)。
場合によっては、X線や超音波、MRIなどの画像検査を行なうこともあります。
モートン病の治療法
靴の変更(ソールを軟らかくする、ヒールを低くする)、薬物療法、足底挿板(そくていそうばん=中敷き)の作成などを行ないます。麻酔薬を注射して痛みを軽減させる局所神経ブロック注射は、治療として有効であるとともに診断確定のために行なう場合もあります。
これらの治療で改善しない場合には、神経剥離術や神経切除術などの手術療法が選択されることがあります。
爪先が細い靴を履いたときに足趾(そくし)の付け根が痛くなったり、足趾にしびれが出現します。靴を脱ぐと症状が軽快する場合には、Mulderテストでセルフチェックすると早く気づきやすいです。
早期に治療を開始したほうが治癒しやすいといわれているため、上記のような症状を認めた場合には、早期に整形外科を受診することをお勧めします。
ハイヒールなどの踵が高く、爪先が細い靴が大きな要因となります。できるだけこのような靴を履くことを控えるとともに、靴の着用時間を短くすることが予防につながります。
解説:松井 智裕
奈良病院
整形外科部長
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※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。