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2021.03.10
腓骨筋は足首を外側に向ける筋肉の一つで、足首の捻挫の防止にも大きく関わっています。腓骨筋腱は外くるぶしの後方を通る際に大きく走行を変えるために、腱に大きな負担がかかります。
腓骨筋腱脱臼は、ひねることで腓骨筋腱が本来の位置からずれて、くるぶしの上に乗り上げた状態をいいます。スキーで足を板に固定されている状態で足首をひねったり、サッカー・バスケットボールでの切り返し動作時に足を地面に固定した状態で足首をひねったりしたときなどに発生します。
脱臼時には、外くるぶし周囲に痛みと腫れが出ますが、症状が似ていることから、捻挫と間違われることも多々あります。初回脱臼を放置していると反復的に脱臼する状態となり、階段昇降などで腱が脱臼した際に足首の力が抜けたり、痛みが出たりすることもあります。
足関節を動かすなどで腱の脱臼を再現できれば、診断は容易です。腱が脱臼したときにくるぶしの剥離骨折を伴うこともあり、X線やCT検査を行なうことがあります。反復して脱臼していると腱の抜け道ができてしまい、超音波(エコー)やMRIで確認できることもあります。
初回脱臼時には4~6週間のギプス固定を行なうことがありますが、ギプス固定による治癒率は約50%といわれているため、早期にスポーツ復帰を望む場合には手術することもあります。一方、反復性脱臼の状態であれば、手術を行ないます。手術には腓骨筋腱の腱鞘(けんしょう=腱を包んでいる鞘状の結合組織)を形成する方法や、骨を切って腱が滑走する溝を深くする方法などがあります。
何らかの外傷がある場合や、足首をひねったときに外くるぶしの後方に腫れや強い痛みがあれば、腓骨筋腱脱臼の可能性を疑います。早期発見にはMRIや超音波などの画像診断が必要になるため、整形外科の受診をお勧めします。
けがにより腓骨筋腱の腱鞘(上腓骨筋支帯=じょうひこつきんしたい)が骨から剥がれることで脱臼するため、予防法は足首をひねらないことしかありません。脱臼予防の装具もありますが、完全に予防できるものではなく、症状のある反復性脱臼は手術が必要になるため整形外科への受診が必要になります。
解説:松井 智裕
奈良病院
整形外科部長
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