済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2021.01.27
モートン病は足趾(そくし=足の指)へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害です。神経が圧迫される原因には、ハイヒールなどの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾(がいはんぼし)など骨の形態異常があります。ガングリオン(ゼリー状の内容物が詰まったこぶ)などの腫瘍が神経を圧迫する場合もあります。
40~60歳代の女性に多く、部位では第3趾(中指)と第4趾(薬指)の間が最も多く、次いで、爪第2趾(人差し指)と第3趾の間が多いとされています。
初期には歩行時に足趾の付け根(特に指と指の間)が痛くなります。症状が進行すると、足趾や足の甲への痛み、しびれといった知覚異常が生じることがあります。
足趾の付け根の部位で足を横から挟むように圧迫して疼痛(とうつう)が誘発されれば、モートン病が強く疑われます(Mulderテスト)。
場合によっては、X線や超音波、MRIなどの画像検査を行なうこともあります。
靴の変更(ソールを軟らかくする、ヒールを低くする)、薬物療法、足底挿板(そくていそうばん=中敷き)の作成などを行ないます。麻酔薬を注射して痛みを軽減させる局所神経ブロック注射は、治療として有効であるとともに診断確定のために行なう場合もあります。
これらの治療で改善しない場合には、神経剥離術や神経切除術などの手術療法が選択されることがあります。
爪先が細い靴を履いたときに足趾(そくし)の付け根が痛くなったり、足趾にしびれが出現します。靴を脱ぐと症状が軽快する場合には、Mulderテストでセルフチェックすると早く気づきやすいです。
早期に治療を開始したほうが治癒しやすいといわれているため、上記のような症状を認めた場合には、早期に整形外科を受診することをお勧めします。
ハイヒールなどの踵が高く、爪先が細い靴が大きな要因となります。できるだけこのような靴を履くことを控えるとともに、靴の着用時間を短くすることが予防につながります。
解説:松井 智裕
奈良病院
整形外科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。