2024.12.25 公開
中耳炎
otitis media
解説:鈴木知子 (福島総合病院 耳鼻咽喉科 医長)
中耳炎はこんな病気
中耳炎とは、耳の鼓膜の向こう側にある鼓室と耳小骨の部分を指す「中耳」の部分に炎症が起きる病気です。中耳には空気で満たされた鼓室(中耳腔)と、鼓膜と内耳をつなぐ小さなの骨(耳小骨)があり、音を増幅する役割を担っています。また、鼓室には鼓索神経という味覚に関与する神経も通っています。
一般的に、中耳炎は子どもが起こしやすい「急性中耳炎」を指す場合が多いですが、ほかにも中耳炎にはいくつか種類があります。
中耳炎の症状
ズキズキと激しく耳が痛む、鼓膜が腫れて耳が詰まっている感じがする、難聴、耳鳴り、めまい、発熱といった症状があります。症状が進むと鼓膜が破れて、中耳にたまった膿(耳漏=じろう、または耳だれという)が出てくることもあります。
中耳炎の検査・診断
耳の穴に挿して使う内視鏡器具である耳鏡(じきょう)で、鼓膜の状態を見ます。顕微鏡を使用して観察する場合や、聴力検査やレントゲン、CT、耳漏を摂取して培養検査を行なう場合もあります。
中耳炎の治療法
中耳炎の状態によって異なります。飲み薬や点耳液(耳の中に直接垂らす薬)の使用で治療できる場合もありますが、鼓膜表面の皮膚が鼓膜の裏側(中耳)に入り込み、層状に蓄積して真珠状の腫瘍ができる球状真珠腫性中耳炎など、治療には手術が必要な場合もあります。
耳の激しい痛みや難聴、めまいなどの症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
中耳炎の状態によって異なりますが、急性中耳炎の場合は風邪を引かないこと、鼻をすすらないことが予防になります。一方で、前庭と接触している耳小骨の一部(アブミ骨)が硬くなり、うまく動かなくなることで難聴や耳鳴りが起きる耳硬化症など、予防ができない中耳炎もあります。早期発見につなげられるよう、耳の聞こえづらさや痛みを感じたら早めに病院を受診してください。
解説:鈴木知子
福島総合病院
耳鼻咽喉科 医長
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※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。