済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2019.02.06
網膜は、眼球の奥で外界からの光を投影し、視神経に伝える役割を持っています。この網膜に血液を供給する動脈に異常が起き、さまざまな疾患を引き起こす状態です。 心臓から送り出された血液の一部は首の動脈(内頸動脈)を通って脳に送られますが、眼球にも栄養は必要ですので、途中で細い枝(眼動脈)を出して眼球に血液を送ります。眼動脈は視神経を貫いて眼球内に入ると、網膜動脈となって網膜にも栄養を供給します。 網膜動脈は加齢とともに硬化し、弾力がなくなります。さらに、血圧が高くなると網膜動脈の一部はこぶ状に拡張し、網膜の前後(網膜前出血・網膜下出血)で出血したり、血液内の水分が漏れ出して網膜内にたまったりします(網膜浮腫)。これを網膜細動脈瘤と呼びます。 この疾患は60歳以上に多く、しばしば高血圧、動脈硬化、脂質異常症、心疾患、脳血管疾患などの全身合併症を伴う病気です。
網膜の中心(黄斑)近くに網膜細動脈瘤ができ、これが破裂すると、硝子体内に血液がたまったり(硝子体出血)、網膜出血や網膜浮腫のために視力が低下したりします。特に黄斑網膜の下に出血すると(黄斑下血腫)著しく視力が低下します。
黄斑下血腫を放置すれば網膜が栄養障害を起こして視力の回復が難しくなるため、早めに手術を行って血腫を除去する必要があります。硝子体出血も、自然吸収しない場合には手術が必要になります。網膜浮腫だけが黄斑に及んだ場合には、レーザー光線で動脈瘤を凝固する場合があります。黄斑から動脈瘤が遠く、視力に影響しない場合には経過を観察します。
ほとんどは突然発症するため、早期発見は困難です。発症後に放置すると回復が難しくなることが多いので、異常を感じたらすぐに医療機関を受診してください。
血管の病気なので、高血圧が悪影響を及ぼします。予防には血圧のコントロールなど全身疾患の管理が大切です。
解説:瀬口 次郎
岡山済生会総合病院
特任副院長
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