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2022.08.24
外耳道は外耳孔(耳の穴)から鼓膜までの長さ約3cmの細長い管で、ここに異物が入った状態を外耳道異物といいます。外耳道異物は多くの場合、医療機関での摘出が必要になります。外耳道に入る異物の種類は年齢によって異なります。小児では、BB弾(直径6mm程度の球形をしたエアガン用銃弾)やビーズなどの玩具を自分で外耳道に入れることが多く、成人では、耳掃除に使用した爪楊枝や綿棒の綿のほか、ゴキブリやガなどの虫が外耳道に入ることが多いです。
外耳道に爪楊枝が入った状態
外耳道に虫が入った状態
小児では自覚症状が少なく、親が発見することが多いですが、本人が症状を訴えず発見が遅れることもあります。
成人では、耳閉感(じへいかん=耳が詰まった感じ)や難聴を自覚することが多いです。昆虫異物の場合、外耳道に入ってきたときに大きな音がして自覚し、虫の移動によって耳に痛みが生じることもあります。
外耳道の浅い位置であれば、肉眼で異物を確認することができます。外耳道の深部に異物が入ると、耳鼻咽喉科の医師による診察でなければ、異物を確認できないことがあります。
多くの場合、耳鼻咽喉科外来において顕微鏡で観察しながら異物を摘出することが可能です。生きている昆虫には薬剤を噴霧して動かない状態にしてから器具で摘出します。
小児は治療中にじっとしていられないことが多く、激しく動いて異物の摘出が難しいようであれば、全身麻酔下での摘出が必要になることもあります。
異物を摘出した後、外耳道や鼓膜の損傷があれば、必要に応じて投薬や処置を行なうこともあります。
成人の場合、すぐに異物を自覚できることがほとんどですが、小児では発見が遅れることも少なくありません。手に持って遊んでいた小さな玩具がなくなっていないか確認が必要になります。
成人の、虫以外の外耳道異物では、綿棒や爪楊枝、マッチ棒などで耳掃除をしたときに外耳道に綿棒の先の綿が残ることや、爪楊枝やマッチ棒の先が折れて残ることが多いです。耳掃除の際には折れにくい素材を用いる、綿棒の先の綿が取れかかっていないか確認してから耳掃除をすることが外耳道異物の予防になります。
解説:齋藤 敦志
京都済生会病院
耳鼻咽喉科 部長
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