済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2017.08.16
胃下垂(いかすい)とは、胃が正常な位置よりも垂れ下がっている状態をいいます。重症になると、骨盤の位置まで胃が落ち込むこともあるとされる疾患です。さまざまな腹部症状を訴える方がいる一方、無症状の場合もあり、特有の症状がないことなどから、西洋医学では病気として扱われない場合も多くあります。しかし、実際の臨床では胃下垂の患者さんは胃壁の筋肉の緊張が低下し、胃の動きが鈍くなる状態(胃アトニーと呼ぶことがあります)を伴って、さまざまな症状を訴えることがあり、その場合は治療の対象となります。
原因については、胃を支える筋肉や、脂肪の少ない痩せ型で長身の人がなりやすいといわれますが、腹壁の緊張の変化や、痩せすぎによる腸壁の脂肪不足、腹圧の低下など、複合的な要因で起こると考えられています。また、暴飲暴食、過労、不安などによるストレスや、腹部の手術、出産などを繰り返した場合、急速な体重減少などが関連しているとする説もあります。
症状がない場合には、基本的に治療は必要ありません。この後の「早期発見のポイント」で挙げているような煩わしい症状が続くときは、胃腸機能調整薬や消化酵素薬などを処方されることがあります。
主な自覚症状として、以下が挙げられます。
診断は、バリウムを飲んで胃X線検査を行なうことで確認できます。通常、胃角部(胃の折れ曲がる角にあたる部位)が、骨盤の後上部にある腸骨の左右をつないだ線よりも下がっている状態を基準に診断されることが多いようです。なお、同じような症状の原因となる他の疾患を確実に除外するために、胃内視鏡検査(胃カメラ検査)も行なっておいたほうがよいでしょう。
確実な予防法は知られていませんが、規則正しい生活を行ない、適度な運動、バランスのとれた食事、精神的なリラックスを心掛けることなどが奨められます。また、腹筋の発達や適度に脂肪がつくことで、改善する可能性もあると推定されています。
解説:羽生 泰樹
大阪府済生会野江病院
消化器内科部長
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