社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2018.03.07

ギラン・バレー症候群

guillain-barré syndrome

解説:松谷 学 (済生会小樽病院 神経内科・副院長)

ギラン・バレー症候群はこんな病気

脳や脊髄から身体の各所に電線のようにめぐっている神経(末梢神経)が原因で、急に発症し、数日で次第に手足が動かなくなる病気です。

神経は、さまざまな情報を送り出す神経細胞の軸索(じくさく)突起を、情報の伝達スピードを速める髄鞘(ずいしょう)がとりまく構造をしています。ギラン・バレー症候群の多くは、本来体外から侵入してくる外敵(ウイルスなど)に立ち向かうはずの免疫システム(抗体など)が、何らかの理由で自己の末梢神経を攻撃して髄鞘に障害が起き、神経の命令の伝導が障害されることで、手足の麻痺などの症状が出ます(図参照)。髄鞘は回復機能が高いため、治療により免疫システムを正常に戻せば、神経の伝導も回復するとされています。しかし、神経軸索突起までダメージが及んでしまった場合、神経細胞の回復は非常に遅いので回復に時間がかかります。

発症前には上気道炎や胃腸炎などの症状が多く見られ、ウイルスや細菌の感染が引き金になることが多いと考えられています。

治療は、免疫システムを正常に戻すことを目指して行なわれます。正常な抗体を大量に点滴する免疫グロブリン大量静注療法、神経を障害している抗体を取り除く血漿浄化療法が主な治療法です。

図: 神経細胞の仕組み
図: 神経細胞の仕組み

解説:松谷 学
済生会小樽病院
神経内科・副院長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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