2020.02.12 公開
皮膚瘙痒症 (ひふそうようしょう)
pruritus cutaneus
解説:坂口 郁代 (川内病院 皮膚科部長)
皮膚瘙痒症はこんな病気
皮膚に赤みや湿疹などの症状が何もないのにかゆみを感じる病気です。全身がかゆくなるものと、陰部などの限られたところだけがかゆくなるものがあります。
皮膚瘙痒症の原因
ヒスタミン(アレルギー症状を引き起こす物質)や、それ以外のさまざまな化学伝達物質によってかゆみが生じます。また、乾燥肌ではかゆみを感じる神経が体の表面近くまで伸びているので、ちょっとした刺激でかゆくなることがあります。そのほかには腎臓や肝臓の病気、糖尿病やホルモン異常、血液や内臓のがん、飲み薬などが原因の場合があります。
皮膚瘙痒症の治療
日常のスキンケアとともに、保湿剤や鎮痒性外用薬(皮膚のかゆみを鎮める薬)の塗布、抗ヒスタミン薬の内服などで治療を行ないます。もし、かいてしまい湿疹ができたときはステロイド外用薬を使用します。
保険適応外ですが、紫外線療法(紫外線の免疫抑制作用を利用して、過剰反応を起こしている皮膚の症状を沈静化させる)で効果が出る場合もあります。
透析患者や慢性肝疾患の人のかゆみに効く飲み薬もあります。
基礎疾患がある人は、その治療をしっかりと行なうことが重要です。
肌に目立つ異常がないのにしつこいかゆみが続き、抗ヒスタミン薬を使用しても改善しないときは、内臓の病気によることがありますので、病院を受診しましょう。
入浴・シャワーで体を洗う際には、皮膚を強くこすらないようにしましょう。また、使用する石鹸、シャンプーは洗浄力の強いものを避け、残らないように十分にすすぎましょう。
入浴・シャワー後は必要に応じて保湿剤をぬってください。
解説:坂口 郁代
川内病院
皮膚科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。