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2023.03.08

赤芽球癆 (せきがきゅうろう)

pure red cell aplasia

解説:石井 好美 (横浜市南部病院 血液内科副部長)

赤芽球癆はこんな病気

赤血球や白血球、血小板といった血液細胞は骨髄の中で作られます。赤芽球癆は、さまざまな原因により骨髄で赤血球が作られる能力だけが低下してしまい、貧血を引き起こす病気です。国の定める「指定難病」の一つで、国内での新規罹患数は年間約100万人当たり0.3人と考えられています。

赤芽球癆は先天性(生まれつき持っているもの)と後天性(生まれたときはなかったものの、成長の過程で何らかの原因で発生するもの)に分類されます。

先天性の赤芽球癆としては、「Diamond-Blackfan貧血(ダイアモンド・ブラックファン貧血)」が知られており、遺伝子異常によるものです。
一方の後天性の赤芽球癆は、原因の分からない「特発性」と、他の病気などが原因となって起こる「続発性」に分けられます。続発性では、薬剤、がん、胸腺腫(胸の真ん中あたりにある胸腺の腫瘍の一種)、自己免疫性疾患、ABO型不適合同種造血幹細胞移植(造血幹細胞移植の一種)などが原因となります。

赤芽球癆を発症するメカニズムは解明されていませんが、ウイルスによる影響のほか、リンパ球や自己抗体(自分の細胞を攻撃してしまう抗体)が自己の網状赤血球(赤血球の“卵”の段階)を攻撃してしまうことにより発症すると考えられています。

赤芽球癆の症状

貧血による症状が主体で、易疲労感(疲れやすい)、倦怠感動悸、顔面蒼白、眠くなる、立ちくらみなどがあります。

赤芽球癆の検査・診断

血液検査では、白血球数と血小板数は正常ですが、赤血球数の値が低くなります。このほかに網状赤血球数の低下がみられます。
さらに、骨髄検査を行ない、赤血球系の細胞のみ減少していることを確認します。また、胸腺腫がないかなどの確認のためにCT検査も行ないます。血液検査や骨髄検査は診断必須ですが、ほかに貧血を起こす病気がないか調べることも重要です。

赤芽球癆の治療法

重度の貧血がみられる場合は赤血球の輸血を行ないます。
赤芽球癆の原因が明確な場合はその治療を行ないます。例えば、薬剤性であれば原因となる薬剤を中止し、悪性リンパ腫が原因であれば悪性リンパ腫の治療を行ないます。

原因が不明な場合や、原因となる病気の治療をしても貧血が改善しない場合は、免疫抑制剤のシクロスポリン(リンパ球の活性を抑制する治療薬)や副腎皮質ステロイド剤(炎症やアレルギーを抑える効果のある治療薬)を使って免疫抑制療法を行ないます。この治療法は効果が出やすいとされており、貧血の改善改善がみられたら少しずつ薬を減らしていきます。

定期的に健康診断を受けましょう。貧血の自覚症状が出たときにはかなり進行していることがほとんどです。貧血が見つかった場合は、医療機関で原因を調べてもらいましょう。

赤芽球癆を起こす正確なメカニズムが分かっていないため、残念ながら現時点で予防法はありません。定期的に健康診断を受け、かかりつけ医を持ち、体調に異変がみられたら相談できるようにしましょう。

解説:石井 好美
横浜市南部病院
血液内科副部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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