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2021.06.09
ヒトの心臓は四つの部屋(二つの心房と二つの心室)で構成されています。
心臓の中には刺激伝導系という回路があります。洞結節から発生した刺激が回路内を伝わることで心房と心室が規則正しく収縮し、血液が心臓から全身に送り出されます。
洞不全症候群は洞結節の働きに異常をきたし、徐脈(心拍数低下)や頻脈(心拍数増加)を生じる病気です。
洞結節の働きが低下すると徐脈や心停止が生じ、覚醒時に3~5秒以上の洞停止(洞結節が活動を停止すること)をきたすと意識を失うこともあります(アダムス・ストークス発作)。逆に洞結節の働きが亢進すると頻脈をきたし、動悸を自覚します。徐脈と頻脈が合併することもあります。徐脈も頻脈も長時間持続すると心臓から送り出される血液量が減少し、心不全を発症することもあります。
洞不全症候群は心筋梗塞や心筋症、心筋炎、サルコイドーシスなどの変性疾患の合併症として生じることもありますが、房室ブロック同様、明らかな原因が不明なことが多い疾患です。
心電図検査で徐脈・頻脈の有無を確かめます。症状がないときは心電図では診断がつかないことがあります。その際はホルター心電図(24時間の心電図を記録)や、植込型ループレコーダー(より長時間の心電図を記録)により診断に至るケースも多いです。
また、心臓カテーテル検査による電気生理検査で、洞結節回復時間を測定することも有用です。
徐脈に対し交感神経ベータ刺激薬などが有効なこともありますが、症状がある場合、多くは心臓ペースメーカー移植の適応となります。
頻脈に対しては心拍数低下作用がある薬剤(交感神経ベータ遮断薬、抗不整脈薬など)を使用します。
洞不全症候群は、薬剤の副作用による場合や心筋梗塞、心筋症などの合併症によるもの以外は、加齢が原因で生じることが多いようです。自覚症状がない場合、人間ドックや健康診断の心電図検査でたまたま指摘されることもあります。
他の不整脈もそうですが、普段から自分で脈をとるのを習慣にすることや、定期的に心電図検査を受けるのが早期発見につながると考えます。
多くの場合、原因が不明であるため予防は困難です。無症状の状態で洞不全症候群と診断されたら、めまい、ふらつき、息切れ、動悸などの症状に注意しましょう。症状が出現したら速やかに循環器科を受診してください。
解説:山口 修
福島総合病院
循環器科 診療副部長
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