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2022.11.16
雪眼炎は長時間紫外線にさらされることによって生じる目の障害で、角膜上皮障害の一種です。晴天の雪原などで紫外線を浴びて発症することから、この病名がついており、俗に「雪目(ゆきめ)」ともいいます。
私たちの生活の中にはさまざまな光線(放射線、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線など)があります。中でも紫外線は日頃の生活で常に浴びている光線ですが、必要以上の曝露(ばくろ=さらされること)によって目に障害が生じることがあります。紫外線の波長は黒目(角膜)や白目(結膜)で吸収されやすい特徴があり、過剰に紫外線にさらされることで角膜や結膜に炎症が引き起こされます。
雪山における雪面からの紫外線の反射のほか、海岸や高山で強い太陽光を浴びることで雪眼炎が起こります。なお、電気溶接や殺菌灯・殺虫灯などの紫外線による雪眼炎のことを「電気性眼炎(でんきせいがんえん)」と呼びます。
表層角膜炎(黒目表面のただれのようなもの)による異物感、まぶしさ、目の痛み、流涙(りゅうるい=涙が出続けること)、開瞼(かいけん=目を開くこと)困難、視力障害、結膜炎(白目の炎症)による充血、などの症状が現れます。
紫外線曝露直後は無症状であることが多く、潜伏期間30分~24時間を経て症状を自覚することもあります。昼間に紫外線を浴び、時間が経ってから夜間救急外来を受診する患者さんも少なくありません。
痛みで目を開けるのが難しいことが多く、点眼麻酔をしてから診察をすることもあります。「細隙灯(さいげきとう)顕微鏡」と呼ばれる拡大鏡で眼球の表面を検査し、表層角膜炎や結膜炎を認めると、診断が確定できます。また、問診で長時間紫外線を浴びたかを確認し、他の病気と見分けることも重要です。
診察時の麻酔により痛みが緩和され、目を開けることが容易になりますが、治療で点眼麻酔薬を使用すると、角膜炎の悪化を助長したり完治を遅らせたりするため、処方は禁じられています。
角膜炎や結膜炎を治療するために、点眼薬を使用します。
角膜に障害があるうちは、痛みは数日続き、鎮痛剤で効果が出にくいのも特徴です。そのため、目を閉じて、安静にしておくことが大切です。
身体が温まる入浴や飲酒などは、炎症を悪化させるため、控えることが望ましいです。治療をすれば、後遺症や視力障害が残ることはあまりありません。
紫外線に長い間さらされていると発症するリスクがあります。「医学解説」で記した症状があれば、早めの眼科受診をお勧めします。
スキー場や海水浴場、標高が高い場所にいるときや、電気溶接などを行なう際は、紫外線を防ぐのに有効なサングラスやゴーグル、遮光眼鏡を装用することが第一です。
解説:村田 和子
向島病院
眼科 医長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。