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2023.03.15
黄色ブドウ球菌という細菌が皮膚で伝染性膿痂疹(とびひ)などの感染症を起こすことがありますが、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群はこの黄色ブドウ球菌が作り出す毒素が血液の循環によって全身に広がり、皮膚がやけどのように剝がれてしまう病気です。
直接感染を起こしていない場所の皮膚においても、血液を介して運ばれた毒素が皮膚の細胞と細胞をつなぐタンパクを切断することで、皮膚が剥離してびらん(皮膚や粘膜の表面が欠損した状態)を起こします。
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は主に乳幼児期にみられることが多く、学童期以降にみられることはまれです。
発熱を伴って、口や目の周り、脇や股にやけどをしたようなびらんが生じます。
毒素によって皮膚は容易に水疱やびらんを生じやすい状態になり、前述のような力が加わる部分や擦れやすい部分を中心に広範囲に皮膚が障害されます。
皮膚の剥落など外観から診断するほか、皮疹や鼻腔の粘膜などから黄色ブドウ球菌を検出して抗生剤の感受性を調べたりします。
ブドウ球菌の増殖を抑えるための抗生剤の投与と、毒素による炎症や皮膚障害に対する治療を同時に行ないます。病変が広範囲に拡大すると、入院してやけどと同様の全身管理が必要になることがありますが、病変が部分的で早期であれば通院治療で治ることもあります。
医学解説の「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の症状」で記したように、口や目の周り、脇や股にびらんがあれば、小児科や皮膚科などを受診しましょう。
効果的な抗生剤があるため、早期に治療を開始すれば、重症化を防ぐことが可能です。
伝染性膿痂疹(とびひ)からこの病気に発展する場合があります。伝染性膿痂疹を放置しないことが重要です。
患部を触った手指を介しても病変が広がるため、手洗いを励行することが大切です。鼻の入り口付近には黄色ブドウ球菌がすみついていることもが多いので、触らないようにしましょう。
シャワー浴ではびらんにかかると、しみて痛いこともありますが、なるべく石けんなども使用して皮膚を清潔に保ちましょう。
解説:松本 賢太郎
静岡済生会総合病院
皮膚科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。