済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2014.05.21 公開
くも膜とは、脳の外側を覆っている脳と脳脊髄(のうせきずい)液全体を包んでいる膜で、くも膜の内側の液体がたまっているスペースがくも膜下腔です。このスペースで出血が起こると「くも膜下出血」と呼ばれます。その原因の8割程度は脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)という脳の動脈がこぶ状にふくれたものの破裂です。そのほかには、脳動静脈奇形、腫瘍などいろいろな原因があります。症状は出血量によって異なり、単なる頭痛と吐き気から、意識障害、心肺停止までとかなりの差がみられます。死亡率は5割以上といわれ、命が助かった人でも高い確率で後遺症を残す可能性があります。また、再出血を起こす確率も高く、早期の発見と治療が重要になります。
くも膜下出血の治療は、主に4つのポイントに分けて行なわれます。
1 出血源の診断と再出血予防の治療
くも膜下出血の診断はまずCTなどで行ない、さらに原因となる病変(主に脳動脈瘤)があるかを調べます。脳動脈瘤が疑われたら出血源の処置を行ない、再出血を防止します。開頭手術によるクリッピング術(脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟み、脳動脈瘤に血が届かないようにして再出血を防ぐ方法)、または脳血管内治療(コイル塞栓術:カテーテルという細い管を脳動脈瘤の中まで入れ、管にコイルという非常に柔らかい糸状の金属を挿入して脳動脈瘤を内側から固めてしまう方法)が選択されます。
2 出血による脳損傷の治療
出血で損傷した部位の脳には、その後腫れが生じて二次的に損傷が進行することがあります。この場合は薬剤などで治療し、上記1と並行して行なわれます。
3 脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく)の治療
脳血管攣縮とは、くも膜下出血を発症した3日後ごろに起こる脳の血管が細くなる現象です。2週間ほど続くと、脳に血流が届かなくなり、麻痺などさまざまな症状を引き起こして命に関わることもまれではありません。治療が困難な場合が多く、また治療薬の多くは出血源が治療されていないと使用できないので、早期の出血源処置が重要です。
4 正常圧水頭症の治療
正常圧水頭症とは、くも膜下出血の後で脳脊髄液が正常に循環しなくなる状態です。出血後1カ月ほどしてから認知症、意識障害、歩行障害、失禁などの症状が現れます。治療では、シャント手術(体内に細長い管を埋め込む方法)を行ない、脳脊髄液の循環を改善します。
解説:中務 正志
宇都宮病院
脳神経外科診療科長
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