2019.02.27 公開
硝子体出血
Vitreous Hemorrhage
解説:瀬口 次郎 (岡山済生会総合病院 特任副院長)
硝子体出血はこんな病気
眼球の中身は硝子体というゼリーで満たされています。このゼリーに血液が混じってしまい、視力が低下するのが硝子体出血です。 硝子体出血の原因には多くの病気がありますが、硝子体は本来血管のない組織であるため、眼球壁の内側の網膜の血管が破れた場合(網膜裂孔、網膜細動脈瘤、眼の外傷など)や、網膜から新しい血管が発育し、これが破れてしまう場合(増殖糖尿病網膜症、発症後時間の経過した網膜静脈閉塞症など)に、硝子体へ血液が混じり込みます。

硝子体出血を発症した眼球
硝子体出血の治療法
硝子体出血の場合には眼底が観察できないことが多いため、超音波断層検査を行なって病状を把握し、原因となる疾患を推定して治療にのぞみます。 出血が少量であれば自然に吸収しますが、多量の場合には吸収が困難となり、視力を改善させるためには、眼球に穴を開けて出血や濁りを取り除く「硝子体手術」が必要となります。

硝子体手術のイメージ
さまざまな原疾患から生じる病気ですので、これといった予兆は少ないのですが、網膜裂孔が原因となる場合には、視野の一部に一瞬光が走って見える光視症を起こす可能性があります。
解説:瀬口 次郎
岡山済生会総合病院
特任副院長
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