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主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
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2018.06.27
真菌胞子などを含むチリやほこり(有機塵埃)、あるいは特定の化学物質などの抗原を繰り返し吸い込むことによって起こる、Ⅲ型及びⅣ型のアレルギー性肉芽腫性間質性肺炎です。主に発熱、せき、喀痰、息切れなどの症状が起こります。また少量の抗原に長期間さらされることで、上記のような急性症状ではなく、せきと運動時の息切れから徐々に始まる慢性型の症状もあります。
日本で発症する過敏性肺炎の約7割は、トリコスポロンという真菌が原因となる夏型過敏性肺炎です。その他には、干し草の中にいる好熱性放線菌という細菌の吸入が原因となる農夫肺、空調や加湿器についたカビ類(アルテルナリア、アスペルギルスなど)を吸入することが原因となる換気装置肺炎、鳥類を飼っている人にみられ鳥類の排泄物が原因となる鳥飼病などがあります。職業性としてキノコ栽培での胞子の吸入や、ポリウレタンの原料であるイソシアネートの吸入による過敏性肺炎も報告されていて、最近では羽毛布団による過敏性肺炎が注目されています。
過敏性肺炎原因別の割合(1990~1999年)
診断は生活歴や職業歴の問診を行ない、以下のような診察所見と症状がある場合は過敏性肺炎を疑います。
治療については、軽症の場合は抗原から隔離するだけで寛解しますが、重症になるとステロイド剤服薬が必要になります。
頻度の多い夏型過敏性肺炎について解説します。原因となるトリコスポロンという真菌は6~10月にかけて高温多湿な古い家屋などに生育します。住人がトリコスポロンの真菌胞子を繰り返し吸入することによって発熱、せき、喀痰などの症状が発症します。
気温の上がらない秋田県以東の寒冷地域ではトリコスポロンが生育せず、夏型過敏性肺炎の発症はほとんどありません。
7月をピークに6~10月にかけて発症することが多く、長引く夏風邪、繰り返す風邪と放置され、症状が重篤化してから病院を受診するケースもあります。 家屋が原因となることが多いことから家族発症がみられ、家屋内で過ごす時間が長い専業主婦に多いことも明らかになっています。
夏型過敏性肺炎の分布と月別発生数(1990~1999年)
過敏性肺炎という病気を理解し、認識しないと早期発見は困難です。以下のような環境にいる、または症状がある場合は夏型過敏性肺炎の可能性があるため、一度病院を受診してみましょう。
予防は原因抗原からの隔離しかありません。原因が住んでいる家の場合は、大掃除を行なうなど、家のなかの環境を整えましょう。
解説:小畑 秀登
山口県済生会下関総合病院
呼吸器科長
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