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2015.08.19
「少し歩くと、足が痛くなったりしびれたりすることで歩けなくなり、少し休むと、また歩けるようになること」を間欠性跛行といいます。
間欠性跛行の主な原因として、動脈硬化により血管に十分な血液を送ることができなくなり起こる「閉塞性動脈硬化症」と、脊柱管(背骨に囲まれた管状の空間)内の神経圧迫による「腰部脊柱管狭窄症」があります。まれに、両者を合併している場合もあります。
両者を識別する方法として、閉塞性動脈硬化症は、片側性でふくらはぎより下にしびれなどの症状が現れることが多く、さらに、下肢が冷たく感じたり、歩いたときにだけ症状が起こることが多くあります。一方、腰部脊柱管狭窄症は、両側性で臀部(でんぶ/お尻の部分)から足全体に症状が多く現れるという傾向があります。症状が前屈で改善されたり、立っているだけでも症状が出現するケースも多くみられます。
また、閉塞性動脈硬化症は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・喫煙といった動脈硬化の危険因子を持つ人に生じる病気なので、他の血管疾患を多く合併している場合があり注意が必要です。腰部脊柱管狭窄症は、進行すると下肢筋力低下や尿の出が悪くなる、尿漏れが起こるなどの症状が出現します。
間欠性跛行が進行すると、次第に日常生活を送ることが困難になっていきます。そのため、症状が出てきた場合は早期に医療機関にかかることが重要です。
診察では、まず、足の甲やくるぶし辺りで脈拍触知(脈拍を数えること)が可能かどうか、腱反射や知覚検査(触覚、痛覚、温度覚などの異常を確認する検査)などを行ないます。それに続いて、手足の血圧値を得て足関節上腕血圧比(ABI)を測定します。測定値が0.90以下であれば、閉塞性動脈硬化症と考えられます。また、ABI測定後に閉塞性動脈硬化症が疑われた場合は、血管を見る画像検査が行なわれ、腰部脊柱管狭窄症が疑われた場合は、腰の脊髄の状態を見る画像検査が行なわれます。
「医学解説」でも述べたように、間欠性跛行の原因には、主に、動脈硬化により血管に十分な血液を送ることができなくなり起こる「閉塞性動脈硬化症」と、脊柱管(背骨に囲まれた管状の空間)内の神経圧迫による「腰部脊柱管狭窄症」があります。そのため、予防法もその原因により異なります。
まず、閉塞性動脈硬化症の予防では、動脈硬化の進行を抑えることが重要です。動脈硬化を早めるものとして、糖尿病・脂質異常症・高血圧・喫煙・加齢などがあります。すでに糖尿病や脂質異常症、高血圧といった病気にかかっている人は、適度な運動や食事制限、内服薬でのコントロールが重要です。特に、禁煙は必須です。
一方、腰部脊柱管狭窄症の予防では、日頃から姿勢を正しく保つことが必要です。また、脊柱管(背骨に囲まれた管状の空間)内の神経圧迫による痛みがある場合は、腰を前かがみにすると和らぎます。杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがめるようにすると楽に歩くことができます。自転車こぎも痛みが起こりにくいので、よい運動になるでしょう。
解説:秋田 雄三
泉尾病院
循環器内科副医長
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