済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2015.06.30 公開
縦隔(じゅうかく)とは特定の臓器の名称ではなく、胸膜によって左右の肺の間に隔てられた部分を指し、心臓、食道、気管、気管支、大動脈や大静脈、胸腺、神経などが含まれます。この縦隔に発生した腫瘍のことを総称して縦隔腫瘍といいます。ただし、食道、気管、気管支、心臓、大血管から発生した腫瘍は除外されます。
縦隔腫瘍は発生する部位によってできやすい腫瘍が異なっています。上縦隔には甲状腺腫、前縦隔には胸腺腫、胸腺がん、奇形腫、胚細胞腫瘍、中縦隔には気管支原性のう胞、食道のう胞、リンパ腫、後縦隔には神経原性腫瘍ができやすいとされています。
人体側面から見る縦隔腫瘍の発生部位とできやすい腫瘍
縦隔腫瘍は通常無症状のものが多いですが、進行して大きくなってくると、炎症を起こしたり、周囲の臓器を圧迫したり、浸潤したりすることによって、胸の痛みや発熱、顔の腫れ、上肢のしびれ、せき、血痰、嚥下(えんげ/食物を飲み下すこと)困難などさまざまな症状が現れます。
診断には、まず胸部X線、CT、MRIによる画像検査を行ないます。また、血液検査での腫瘍マーカーの測定が診断に役立つこともあります。縦隔は体の中でも、診断をつけることが難しい場所です。胸腔鏡、縦隔鏡やCTなどを用いた腫瘍細胞の性質を調べる検査(組織学的検査)が必要な場合もありますが、良性腫瘍か悪性腫瘍かの判断を含めて、手術で切除するまでは、はっきりとした診断が得られないことがほとんどです。
治療は腫瘍の種類と病気の広がりによって決まりますが、良性、悪性にかかわらず手術が可能であれば切除するのが基本的です。
縦隔腫瘍の手術件数は増加傾向にあり、これは胸部CT検査の機会が増え、その精度が向上していることも関係していると考えられています。手術の方法も、発生する臓器、場所、広がりに応じて異なり、胸骨正中切開や後側方切開が行なわれます。また、腫瘍が早期で小さい場合は内視鏡手術を行なう場合もあります。切除できない場合は、放射線治療や抗がん剤治療を合わせた集学的治療が行なわれます。抗がん剤や放射線治療の効果は腫瘍によって異なり、胚細胞腫瘍の中の精上皮腫は抗がん剤や放射線治療が非常に効果があります。
解説:宮原 栄治
広島病院
外科医長
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