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オウム病

psittacosis

解説:草ヶ谷 英樹先生 (静岡済生会総合病院 呼吸器内科長)

オウム病はこんな病気

オウムやインコ、ハトなど鳥類の排泄物などから、オウム病クラミジア (Chlamydophila psittaci)という病原体を吸入することで感染する病気です。ペットとして飼育している鳥類から感染し、家族内で複数の人がオウム病を発症したケースの報告もあります。感染症法では4類感染症に分類され、全数把握疾患として診断を下した医師は直ちに届出をしなければなりません。日本での年間報告例は最大20例程度と少ないですが、実際には軽症のオウム病の症例が多数あり、確定診断をされずに治療が進んでいると考えられています。

オウム病クラミジアは気管支から吸入されると、細胞内で増殖し、血流にのって全身に広がります。風邪のような上気道炎症状しか出現しない軽症例から、呼吸困難や咳を伴う「肺炎型」や、全身の臓器に広がってさまざまな症状を呈する「全身型」まで、臨床症状は非常に多彩です。肺炎の中でオウム病が占める割合は高くありませんが、原因菌不明の重症肺炎ではオウム病の可能性を考える必要があります。「全身型」では脳炎髄膜炎、心筋炎といった多臓器の障害が出現し、非常に重症化する場合があることも知られています。

オウム病の症状

症状が出現するまでの潜伏期は1~2週間程度で、多くの患者さんに38度を超える突発性の発熱、全身倦怠感、頭痛などがみられます。病気の種類にかかわらず、一般的に高熱が出ると脈拍も上昇することが多いですが、オウム病では発熱しても脈拍があまり上がらない「比較的徐脈」がみられることや、しばしば肝機能障害が出現することが特徴です。肺炎型では咳や血痰(けったん)を伴ったり、全身型の重症例では意識障害を呈したりすることもあります。

オウム病クラミジアは細菌の一種ですが、通常の細菌培養用の培地では増殖できず、生きた細胞の中でのみ増殖する特性があります。そのため、一般的な医療施設では診断のための培養検査は困難です。また、インフルエンザのような迅速診断も出来ません。診断のためには、咽頭から拭った液や喀痰(かくたん)などの検体から直接オウム病クラミジアの菌体やその遺伝子を証明したり、血液中の抗体が上昇しているか否かを調べたりします。これらの検査は結果判明までに時間がかかるため、症状や臨床経過、あるいは鳥類との接触歴などからオウム病を疑った場合には、結果を待たずに治療を行うこともあります。

オウム病の治療法

治療には「マクロライド系抗菌薬」や「テトラサイクリン系抗菌薬」の抗菌薬が用いられます。一般的な細菌感染でよく用いられる「βラクタム系抗菌薬」は効果がありません。

早期発見のポイント

初期症状は突発する高熱が多いとされますが、前述の通りその程度や種類はさまざまです。インフルエンザの症状にも類似しており、症状からすぐにオウム病を思い浮かべることは医療者でも容易ではありません。鳥類を飼っている場合には、病院を受診したときにそのことを医師に伝えましょう。

予防の基礎知識

残念ながらオウム病に有効な予防接種はありません。鳥類との不必要な接触を避けることは予防につながります。健康な鳥類でも体内にオウム病クラミジアを保菌していることがあり、保菌している鳥類が体調を崩すと、糞便や唾液中に菌を排出し感染源となる場合があります。鳥類を飼うときは鳥カゴ内の糞や羽などをこまめに掃除し、触れた後に手洗いとうがいをしましょう。可愛がっているペットでも、口移しでエサを与えるのは感染の危険があるので避けましょう。

草ヶ谷 英樹

解説:草ヶ谷 英樹
静岡済生会総合病院
呼吸器内科長

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