ホーム >  症状別病気解説 >  びまん性肺疾患

びまん性肺疾患

Diffuse Lung Disease

解説:草ヶ谷 英樹先生 (静岡済生会総合病院 呼吸器内科長)

びまん性肺疾患はこんな病気

「びまん」とは一面に広がる、はびこるという意味です。びまん性肺疾患は左右両側の肺全体に病変が広がっている疾患の総称です。

最も代表的な疾患は「間質性肺炎」です。肺に炎症や、傷を治そうとして肺の壁が厚く硬くなる線維化が起こり、呼吸機能が障害される疾患です。本来自分の体を守るシステムであるはずの免疫系が過剰に働きすぎた結果、自分自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患(膠原病・血管炎)はその代表です。ほかにも、カビなどの吸入物質が原因の「過敏性肺炎」、仕事などで長期間粉じんを吸い込むことによって起こる「じん肺」、薬剤や漢方薬、健康食品などによる「薬剤性肺炎」も、間質性肺炎に含まれます。しかし原因不明な場合も多く、その場合「特発性間質性肺炎」と呼ばれます。

間質性肺炎以外では、心臓疾患による肺水腫や感染症でも、びまん性の陰影が出現することがあります。まれに、サルコイドーシスや肺胞出血のほか、肺がんなどの腫瘍性疾患でもみられることがあります。

このようにびまん性肺疾患には非常に多くの疾患が含まれるため、胸部レントゲン線検査だけで診断をするのは極めて難しく、専門的な施設での検討が必要です。

図:びまん性肺疾患
びまん性肺疾患

びまん性肺疾患の症状

前述の通り多様な疾患が含まれるため、その症状や経過はさまざまです。代表的な症状は咳と息切れですが、初期では無症状で、検診などで偶然発見することもあります。感染症や自己免疫疾患では発熱する場合もあります。胸部レントゲン検査では、左右両側の肺にすりガラス状の淡い陰影や、網目状の陰影がみられたりします。この陰影も疾患によってさまざまです。

びまん性肺疾患の治療法

治療の方法やその治療への反応性もまた、疾患の種類や程度によって大きく異なります。そのため何よりも重要なのは、適切な診断を行い、それに沿って最も有効な治療方針を選択することです。

診断には通常の血液検査や胸部画像検査に加えて、気管支鏡検査や、外科的な手術で肺の一部分を採取する肺生検を組み合わせて行います。診断確定後の方針も疾患によって変わってきます。無治療で経過をみていくこともありますし、過敏性肺炎や薬剤性肺炎では、原因物質から離れて生活する、内服していた薬剤を中止するだけで改善することも少なくありません。間質性肺炎の一部では、ステロイドや免疫抑制剤といった強力な治療を長期的に行う場合もあります。特発性間質性肺炎の中で最多の特発性肺線維症では、抗線維化薬を用いることもあります。

びまん性肺疾患によって体内の酸素が不足するようであれば、酸素吸入を行います。中には、急性な経過で命に関わるくらい呼吸状態が悪化することもあり、その場合は人工呼吸管理が必要になることもあります。

早期発見のポイント

①長引く咳や息切れは病気のサインかも
「医学解説」で述べた通り、びまん性肺疾患の代表的な症状は、咳や、特に動いたときの息切れです。咳が長引いたり息切れが徐々に強くなったりするようであれば、早めに医療機関を受診し、検査をすることをお勧めします。

②健康診断や人間ドックを積極的に利用する
いつも咳や息切れがあるとは限らず、無症状の場合もあります。胸部レントゲン検査が診断につながることもあるので、健康診断や人間ドックなどを定期的に受けることも大切です。

予防の基礎知識

薬剤性や粉じんなど原因物質が明らかな場合は、それらを避けて生活することで予防できます。ただ原因不明である場合も多いので、予防が困難なときもあります。

間質性肺炎は基本的にゆっくりと進行する病気ですが、病状が急激に悪化する(急性憎悪)ことがあります。ときに致命的な経過をたどることがあるため、急性増悪の予防は非常に重要です。初期は風邪のような症状がみられることが多く、ウイルスなどの感染をきっかけに発症することもあるので、手洗いやうがい、人混みに出かける際はマスクの着用などが勧められます。免疫力を高めるためにも食事や睡眠をしっかりとって、規則正しい生活することも重要です。

草ヶ谷 英樹

解説:草ヶ谷 英樹
静岡済生会総合病院
呼吸器内科長

関連情報

過敏性肺炎
症状別病気解説 過敏性肺炎
膠原病
症状別病気解説 膠原病
肺がん
症状別病気解説 肺がん
間質性肺炎・肺線維症
症状別病気解説 間質性肺炎・肺線維症

※当欄に執筆した医師の所属・役職は、異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

▲ページトップへ