済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2018.07.04
何らかの形で夜に眠り続けることができず、そのために日中にも眠気、倦怠感などの心身の不調をきたし、生活に影響を及ぼすような状態のことをいいます。不眠症には大きく分けて以下4つのパターンがあります。
入眠困難: なかなか寝付けない
中途覚醒: 夜中に何度も目が覚めてしまう
早朝覚醒: 朝早く目が覚めて、その後眠れない
熟眠障害: ぐっすり寝た気がしない
不眠症は一つの「病気」というよりは、さまざまな要因によって結果的に現れた「症候群」と言うべきものです。そのため、「とにかく薬を飲んで眠れるようになれば解決」というわけではなく、まずは背景にある要因について、具体的に検討してみる必要があります。また、不眠の要因は複合的だったり、明確でないことも多いので、一つの「原因」にとらわれたり、治療を始めても「すぐに治らない…」などと結果を急いで焦ったりしないほうがよいでしょう。
不眠症の要因には、次のようなものがあります。
不眠の治療としては、睡眠薬で症状を緩和させる”対症療法”的な治療がありますが、それだけでなく、背景にある要因に合わせた対処法を考えてみるのも大事です。 例えば、生活習慣の問題がある場合は、その改善を心がけましょう。身体疾患の症状が影響している場合は、治療に関して担当科医師に相談をしてみたり、精神疾患を背景としたものであれば、不眠という一症状だけでなく、その他の病状の変化や悩みも含めて担当医に相談してみましょう。飲酒の問題があるならば、ストレス軽減のために周りの人に相談したり、お酒以外のストレス解消法を探したりしてみることが大事です。
「医学解説」でも述べたとおり、不眠はその背景にさまざまな要因がありうるものです。「普段より眠りが悪くなってきたかな」と感じたら、まずはそのきっかけについて振り返り、生活習慣を見直してみましょう。不眠以外の精神的・身体的な変化が生じていないかと振り返ってみることも、要因を探るにあたって参考になります。その上で必要に応じて、身近な人や専門家に相談をしてみるとよいでしょう。
中には不眠を自分で解決しようとして、寝つくためにお酒を飲み始める・飲酒量が増える、という人がいます。しかし、このような方法は不眠(特に中途覚醒や熟眠障害)をかえって悪化させるだけでなく、さらなる心身の不調をもたらすので控えてください。一度、精神科など専門家に相談してみることをお勧めします。
また、実際には眠れているのに「睡眠時間が短いのではないか」「眠れなかったどうしよう」などと過度に気にしてしまう人がいます。しかし、眠り具合は日によっていくらか変動があり、年齢とともに短くなっていくものです。睡眠時間にこだわるあまりに、不安を抱きつつ床に入ると、よけいに眠れなくなる、といった悪循環になりかねません。このような人は、「眠れない日があれば、その次の日は眠れるだろう」「睡眠時間がどうであれ、日中も特に支障なく過ごせていればよしとしよう」などと割り切ることが精神的によい結果をもたらすでしょう。
次に挙げるような日々の生活における心がけが、不眠の予防や改善に有効です。
朝の心がけ
日中の心がけ
寝る前の心がけ
解説:古野 拓
済生会横浜市南部病院
精神科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。