済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約66,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2015.08.10
リンパ浮腫とは、リンパ管を流れるリンパ液(たんぱく質や白血球を運ぶ)が滞ることで起こる、腕や足などのむくみです。リンパ管やリンパ節の発育不全といった先天的なことが原因で生じる場合と、乳がんや子宮がん、前立腺がんといったがん手術でリンパ節を取り除いたり、放射線治療によってリンパの流れが停滞したりすることが原因で生じる場合とがあります。
リンパ浮腫は免疫不全の状態であり、そのため、むくんでいる箇所にわずかな細菌が侵入しただけで一気に腕や足全体に広がり、炎症を起こしてしまいます。この状態を蜂窩織炎(ほうかしきえん)といい、リンパ浮腫の合併症状として最も避けたい症状といえます。
リンパ浮腫患者の約30%に発生するといわれている蜂窩織炎は、健常人に発生する蜂窩織炎と異なり、免疫機能異常を有しているリンパ浮腫症例においては、浮腫部に突然の発赤が生じ、急激に進行し数時間内にあっという間に40度近い発熱を発生します。また、場合によっては、敗血症性ショックで命を落とす場合もあります。
特に、蜂窩織炎を頻発する患者さんは、度重なる欠勤のため就労困難となり、仕事を辞めざるをえない状況に追い込まれたり、浮腫部に過度な負担をかけることを避けるため、旅行やスポーツといった活動が制限されたりすることも少なくありません。蜂窩織炎が出現している状況では、スキンケアやマッサージといったリンパ浮腫の保存療法は禁忌とされているため、病状は著しく悪化し続けます。
近年、病態の解明に加えて、検査法、手術方法、手術器具の進歩により、これまで不治の病とされたリンパ浮腫の治療、蜂窩織炎の予防が可能になってきました。新しい治療として、手術用顕微鏡を用いた低侵襲リンパ外科治療と保存療法(複合的理学療法)を融合させることで、より確実な治療効果が得られています。
解説:三原 誠
川口総合病院
血管外科 医長
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