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済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
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2013.02.01
子宮がんには、赤ちゃんが育つ子宮体部にできるもの(子宮体がん)と、膣につながる入り口部分である子宮頸部にできるもの(子宮頸がん)があります。なかでも子宮頸がんは近年発症率が急増しており、20~30歳代の若い女性がかかりやすいのが特徴です。
子宮頸がんの原因は、ほぼ100%ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染といわれています。HPVは皮膚や粘膜の接触によって感染するウイルスであり、多くは性交渉によって子宮頸部に感染します。女性の80%が生涯に一度は感染するといわれるほどありふれたウイルスですが、感染しても多くの場合はウイルスが自然に脱落・消失するので、持続感染を起こすことはきわめてまれであり、がんになるのはこの持続感染した人の一部です。
子宮頸部の検査を行なうことによりがんになる前の異常(異形成)を発見できます。異形成やごく初期のがんなら、子宮頸部の一部のみを切除する手術で根治させることができ、子宮を温存することができます。
一方、発見が遅れると、子宮の摘出が必要になるとともに、進行がんにおいては命に関わる場合もあります。
子宮頸がんの進行期分類
組織診の結果、前がん病変(高度異形成)や、子宮頸部の上皮にがんがとどまるごく初期(0期:上皮内がん)であれば、頸部だけを切除し(円錐切除術)、子宮を温存することができます。I期以上(浸潤がん)であれば、子宮を摘出する手術が必要になり、Ib期以上では周辺組織や骨盤リンパ節をとる必要も出てきます。さらに進行していた場合は、がんが膣や膀胱、直腸、尿管などに浸潤したり、血液の流れを介して遠隔臓器に転移することもあり、化学療法(抗がん剤)や放射線治療などが必要となります。子宮頸がんの手術では、通常は卵巣まで摘出する必要はありませんが、化学療法や放射線治療によって卵巣機能が損なわれる可能性はあります。
解説:岸 郁子
東京都済生会中央病院
婦人科部長
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