社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2019.09.11 公開

角膜内皮障害

Corneal Endothelial Disorder

解説:加畑 隆通 (水戸済生会総合病院 副院長)

角膜内皮障害はこんな病気

眼球の表層にある角膜は黒目の部分に相当し、5層に分かれています。このうち、最も内側にあるのが角膜内皮で、ここが傷つき、角膜に浮腫(むくみ)、混濁が生じた状態を角膜内皮障害といいます。

角膜内皮細胞と角膜角膜内皮細胞と角膜

角膜内皮は角膜内皮細胞から成っていて、目の中を流れる水分が角膜内に侵入するのを防ぐ働きをしています。しかし、角膜内皮細胞は一度傷つくと再生しないため、細胞数は減る一方で増えることはありません。細胞数が減ると細胞の面積を拡大して機能を果たしますが、減りすぎると補完できなくなります。すると、角膜の層に水分が入り込むため、本来透明な組織である角膜が濁ってしまいます。

角膜内皮障害の原因

角膜内皮が傷つく原因には、以下があります。

(1) 外傷
(2) 目の手術
(3) レーザーによる虹彩切開(閉塞隅角緑内障発作の治療、予防のため)
(4) 急性緑内障発作
(5) 目の中の炎症(ぶどう膜炎など)
(6) 先天性、遺伝性の内因疾患
(7) コンタクトレンズの使用
(8) 加齢

角膜内皮障害の症状

角膜内皮障害が進行すると、角膜の浮腫のため視力が低下します。さらに進行すると、角膜の最も外側の層(角膜上皮)に水疱(すいほう=みずぶくれ)やびらんを生じるため、強い痛みが出るようになります。このような状態を「水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)」といいます。

角膜内皮障害の治療法

視力が低下した場合には角膜移植が必要となります。以前は、水疱性角膜症に対して角膜の5層すべてを移植する全層角膜移植が行なわれていましたが、最近では角膜内皮細胞層のみ移植する方法が主流になってきています。

解説:加畑 隆通

解説:加畑 隆通
水戸済生会総合病院
副院長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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