社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2020.05.20

下咽頭がん

hypopharyngeal cancer

西川 周治 (吹田病院 耳鼻咽喉科科長)

下咽頭がんはこんな病気

下咽頭がんは下咽頭にできる悪性腫瘍です。
咽頭は、鼻の奥から食道の入り口までの食べ物と空気が通る部分を指します。上からそれぞれ、上咽頭、中咽頭、下咽頭の三つの部位に分かれています。下咽頭は、喉頭の後ろ側で食道の入り口にあたります。
喫煙、飲酒が発がんに大きく関わっていることが多く、アルコールを多量に摂取する人に多く発症します。
食道がんや胃がんなどのほかのがんを合併することがあります。発症率は人口10万人に対し男性で2人、女性では0.2人で、60歳台の男性に多い傾向があります。

下咽頭がんの症状

早期での症状は乏しく、首のリンパ節転移が多くみられるため、首のしこりができて発見されることも多いです。がんが大きくなると、痛みや喉のつまり感、飲み込みにくさ、息苦しさなどが出現することがあります。

下咽頭がんの治療

治療法には、手術、放射線治療、化学療法が用いられます。
早期がんでは、放射線治療を主体とした治療が選択されることが多いですが、症例によっては経口手術での切除が行なわれることも近年増えてきています。
進行がんの手術は、下咽頭と隣り合う組織である喉頭を同時に切除する症例も多くあります。喉頭の進行がん同様に、声帯の合併切除を行なうことにより、術後の発声機能が失われます。そのため、喉頭の温存を希望する場合は放射線治療と抗がん剤を併用した化学放射線治療が選択されることがあります。

初期の下咽頭がんは自覚症状に乏しく、首のリンパ節転移によって発見されることもあり、首のしこりがみられたときには耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
また、近年は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)の機器が発達し、非常に早期に発見されることも増えています。アルコールを多飲する人や食道がん・胃がんの治療歴のある患者さんは、定期的な上部消化管内視鏡検査を受けることをおすすめします。

下咽頭がんの患者さんは、大量飲酒歴があることが多く、飲酒が発症のリスクを増加させているといえます。そのため、アルコールを控えることが予防につながります。節度ある飲酒をおすすめします。
また、ほかの頭頸部がん同様に喫煙も発がんのリスク因子であり、禁煙も望ましいです。

西川 周治

西川 周治
吹田病院
耳鼻咽喉科科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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