2024.08.21 公開
黄疸
jaundice
解説:中村 由紀子 (山形済生病院 消化器内科)
黄疸はこんな病気
黄疸とは、血液中の「ビリルビン」という物質が増加して、皮膚や目などの粘膜に沈着し、黄色く見える状態です。
ビリルビンは全身に酸素を運ぶ赤血球と深い関係があります。赤血球の寿命は約120日といわれており、老化した赤血球が役目を終えて処理されるときにできるのがビリルビンです。ビリルビンは血液によって運ばれ、肝臓で処理されて胆汁となり、胆管から十二指腸を通って腸管に排出されます。しかし、この過程のいずれかで異常が起こると、ビリルビンが体内にたまって、黄疸が発生します。
黄疸の症状
血中総ビリルビン値が2~3mg/dl以上になると、白目(眼球の白い部分)の黄染(おうせん=目や皮膚が黄色くなること)が明らかになります。ミカンなどの過剰摂取で手足が黄色くなる「柑皮症」と似ていますが、柑皮症は白目の黄染がないため、区別することができます。
黄疸は、白目や皮膚が黄色くなるだけではなく、尿や便の色の変化(濃い色の尿、白っぽい便)や身体のかゆみ、食欲不振、だるさなどの症状が出ることもあります。
黄疸の検査・診断
腹痛や発熱の有無、海外渡航歴、輸血歴、薬物服用歴、飲酒歴、家族の病歴などを問診で確認した後、血液・尿検査で、原因が肝臓の病気(肝炎、肝硬変、肝臓がんなど)か、胆管の閉塞によるもの(閉塞性黄疸)かを鑑別します。
肝臓の異常であれば、ウイルスや薬剤による急性肝炎や、連日の大量飲酒によるアルコール性肝炎、進行した肝硬変の可能性もあります。胆管閉塞による黄疸であれば、胆石や悪性腫瘍によって起こることが多く、超音波検査やCT・MRIなどの画像検査で診断します。
黄疸の治療法
黄疸を伴う肝炎は重症であることが多く、特に意識障害や腹水
自分では気が付かず、他人から目の色や肌が黄色っぽいと指摘されて受診するケースも少なくありません。「尿の色が濃い」「肌のかゆみ」などで受診し、発見されることもあります。これらの症状が出た場合は、一度受診してみることをお勧めします。
肝臓は異常があっても症状が現れにくく「沈黙の臓器」と呼ばれているため、健康診断で定期的に肝機能検査を受けることも大切です。
解説:中村 由紀子
山形済生病院
消化器内科
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