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2021.09.08

下垂体性成長ホルモン分泌亢進症

gigantism&acromegaly

解説:友常 健 (宇都宮病院 糖尿病・内分泌内科 主任診療科長)

下垂体性成長ホルモン分泌亢進症はこんな病気

脳の底面のやや中央付近にぶら下がっている下垂体という臓器から分泌される成長ホルモンが過剰となって起こる病気で、そのほとんどは下垂体にできる良性腫瘍が原因です。30~50歳代の人に多くみられますが、小児でも発症します。

成長ホルモンは骨や軟部組織の成長を促進します。そのため、骨端線(こったんせん=発育期の骨に存在する軟骨層)がなくなる思春期以降に発症すると、額や鼻、唇、顎、舌のほか手足の指、かかとなどの先端部分が大きくなる先端巨大症となり、思春期前の小児に発症すると背が高くなる巨人症となります。

なお、治療を受けずに放置すると、成長ホルモンの過剰などから糖尿病高血圧症、脂質異常症狭心症心筋梗塞脳梗塞などの脳血管障害をはじめ、大腸がんなどを合併する可能性が高くなり、平均寿命も大幅に短くなります。

下垂体性成長ホルモン分泌亢進症の症状

先端巨大症では特徴的な手足の肥大や顔つきの変化に加えて、腫瘍による頭痛や見え方の異常(視野障害)、成長ホルモンの過剰によって引き起こされる血圧や血糖の上昇、発汗過多や関節痛、女性では月経異常がみられます。ほかには、軟部組織の肥大で起こる手根管症候群による手のしびれ、舌の巨大化が原因の睡眠時無呼吸症候群なども多くみられます。
巨人症では身長が非常に大きくなります。

下垂体性成長ホルモン分泌亢進症の検査・診断

先端巨大症では血液検査で成長ホルモンの過剰を確認するほか、頭部MRI検査(またはCT検査)で下垂体の良性の腫瘍を確認することが診断に必要です。巨人症ではこれらの検査所見に加えて発育期における非常に大きな身長の増加を確認します。

下垂体性成長ホルモン分泌亢進症の治療法

原因となる下垂体の腫瘍を手術で切除することが治療の第一選択となります。
また、注射薬によって成長ホルモンの分泌を抑えたり、その作用を邪魔して成長ホルモンが多いことによる影響を抑えたりすることができるようになっています。腫瘍が大きい場合や舌の肥大化などで手術に支障があると予想される場合には、手術前に注射薬の投与も行なわれます。手術した後でも血液中の成長ホルモン量が多い場合には、注射薬を投与して病気の勢いをコントロールします。
そのほかに、ガンマナイフ(脳内病巣部にガンマ線ビームを集中照射する装置)などを用いた放射線治療を行なうこともあります。

まれに10歳から20歳にかけての身長の増加で、巨人症が見つかることがあります。
思春期以降に発症する先端巨大症の場合、特徴的な症状である外見の変化は非常にゆっくりと進むので、本人や同居家族は気がつきにくいです。久しぶりに会った友人から顔つきの変化を指摘される、指輪のサイズが合わなくなる、または靴のサイズが大人になっているのに大きくなるなどの理由から、病院を受診することが多いようです。気になる場合にはパスポートや免許証、卒業アルバムなど過去の顔写真が確認できるものを持参して、内分泌内科の専門外来を受診してみてください。

基本的に予防はできません。おかしいなと思ったら早めに医療機関に相談してください。

解説:友常 健

解説:友常 健
宇都宮病院
糖尿病・内分泌内科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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