季節は食欲の秋。しかし、口内炎ができるとなかなかごはんがおいしく食べられません。口の粘膜に起こる炎症のことをまとめて口内炎と呼びます。大人だけでなく、赤ちゃんや子どもにもできる口内炎。種類と原因を知り、対策をしていきましょう。
種類と原因
口の粘膜に起こる炎症のことをまとめて口内炎と呼びます。さまざまな原因と種類がありますので以下にまとめます。
1.傷などで起こる(カタル性口内炎、単純性口内炎)
転んで地面に口をぶつけ、傷から地面の細菌に感染したとき、口の中が不衛生なとき、あるいは熱い食べ物で火傷したときなどにできます。特徴として、傷ついた部分だけ白い口内炎ができます。1週間程度で自然に治ります。
2.ストレスで起こる(アフタ性口内炎)
精神的ストレスや、ビタミン不足など栄養の偏りが原因で起こります。口の中に1個もしくは数個の小さな潰瘍ができます。その潰瘍の特徴は表面が白く、周りが赤く、真ん中がくぼんでいます。1週間程度で自然に治りますが、よく再発します。
3.ウイルスの感染で起こる(ウイルス性口内炎)
ウイルスの感染によって起こる口内炎は、免疫力の弱い子どもがかかりやすい病気で、いくつか種類があります。
病名 | 原因 | 解説 |
---|---|---|
ヘルペス性口内炎 | 単純ヘルペスウイルス1型への感染 | 生後6カ月~3歳の乳幼児に発症しやすい病気です。急に39度前後の高熱が出て、激しい痛みを伴った口内炎が多数できたり、唇や舌、歯茎が赤く腫れ上がったりします |
ヘルパンギーナ | コクサッキーウイルスA群への感染 | 乳幼児や子どもを中心に6月下旬~8月中にかけて流行し、「夏風邪」とも呼ばれます。前触れもなく39度以上の高熱が出て、上顎から喉の周辺にかけて口内炎や水泡がたくさんできます |
手足口病 | コクサッキーウイルス、 エンテロウイルスなどへの感染 |
ヘルパンギーナと同じく夏に流行し、口の中だけでなく、手のひらや足の裏などに水泡ができます。発熱するケースは少なく(3割程度)、あまり高熱にならないのが特徴です |
4.カビの一種で起こる
通常身体にいる真菌(カビ)の一種のカンジダ菌が原因で起こります。免疫力が低下することでカンジダ菌が増殖し、口内炎が発症します。
口の中にできる白い斑点が特徴です。生後2~3カ月の赤ちゃんに発症するケースが多い病気で、ミルクの飲みが悪くなることもあります。
5.その他
食べ物、薬物、金属が刺激となりアレルギー反応を起こす口内炎もあります。
治療方法
アフタ性口内炎やウイルス性口内炎は、1週間程度で自然に治ることもあります。しかし、生後4~6カ月の赤ちゃんは、本来お母さんからもらった免疫によって病気にかかりにくい時期なのに口内炎ができることがあり、高熱が出た場合は重大な病気の可能性もあります。小児科へ受診しましょう。小児科がなければ、口腔外科や小児歯科の専門医のいる医療機関を受診してください。
自宅でのセルフケア
もし口内炎が見つかったら、簡単にできるセルフケアがおすすめです。
1.水分補給
ウイルスは乾燥を好むので、水分を十分取るように気を付けてください。温度は人間の体温と同じくらいがいいでしょう。
2.食事
できるだけ栄養価の高いものを数回に分けて食べます。
ハチミツ:
傷の治りを早くさせる作用があるため、患部に塗るとよいとされています。ただし、ハチミツにはボツリヌス菌が含まれており、中毒を起こす危険性があります。1歳未満の乳幼児にハチミツを与えないようにしてください。
梅干し:
殺菌作用が高いクエン酸が多く含まれているため、患部に貼りつけるとよいとされています。
3.口の中を清潔にする
痛みがひどく歯磨きができない場合は、うがいをして口の中を清潔に保ちます。
予防のポイント
ポイント1
ビタミン摂取を心がける
ビタミンB1、B2、Eの不足で口内炎ができる場合もあります。子どもの口内炎を防ぐには、ビタミンの中でも特にビタミンB2が効果的です。
ビタミンB2には成長を促進し、身体の粘膜や皮膚を保護する役割があります。不足すると口内炎になりやすくなります。
納豆、レバー(牛、豚、鳥)、干し椎茸、鶏卵、海苔、うなぎ
ポイント2
ストレスと睡眠不足
ストレスや睡眠不足などの疲れから免疫力が低下すると、病気にかかりやすくなります。睡眠時間を十分とるといった規則正しい生活習慣を身に付けるようにしてください。
ポイント3
口の中の乾燥を防ぐ
前述のセルフケア同様、水分補給やマスクを着用するなどして口の中の湿度を保つと効果的です。
ポイント4
食後の歯磨きは徹底
食後の歯磨きを徹底して、口の中を清潔に保つようにしましょう。
解説:金崎 朋彦
大阪府済生会千里病院
歯科・口腔外科部長
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