済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2016.11.09 公開
心臓は4つの部屋に分かれ、全身の血液を循環させるポンプとして働いている臓器です。筋肉の塊である心臓は、電気信号によってコントロールされています。正しい心臓の電気信号は、洞結節(どうけっせつ)から規則的に生じ、心房全体に行き渡った後、房室結節(ぼうしつけっせつ)を通過して心室全体を興奮させます(図1参照)。身体・心ともに落ち着いている時には40~80回/分で電気信号が流れますが、運動をしたり驚いたりすることで回数は増加します。こうした正常な心拍数の増加ではなく、病的に急激な心拍数の増加を「発作性頻拍症」といいます。発作性頻拍症は、生じる場所によって上室頻拍と心室頻拍に分けられます。(以下、上室頻拍、心室頻拍の項目を参照)最も頻度が高い疾患は、発作性心房細動ですが、この項ではそれ以外の発作性頻拍症について解説します。機序(きじょ=メカニズム)は、単一カ所から起きる異常興奮、もしくは一定の回路を旋回するリエントリーです(図2を参照)。生まれつきこのような異常を有している場合もありますし、心筋梗塞や肺疾患などが原因で頻拍が生じる場合もあります。
図1 心臓の構造と電気信号の流れ
図2 電気信号の流れを表すイメージ図
心臓の上部にある心房を起源とする頻拍です。通常、命には関わりませんが、頻拍が続き心不全を生じた場合は重篤な状態になる可能性があります。頻度が高いものとして房室結節回帰性頻拍(=房室結節内のリエントリー)・房室回帰性頻拍(=異常回路と正常伝導路で形成されるリエントリー)・心房粗動(=心房内のリエントリー)などがあります。100回/分前後と比較的少ない心拍数のものもあれば、250回/分前後の重度の頻拍となるものもあります。規則正しい動悸を感じることが多いですが、自覚症状は人それぞれで、心拍数が比較的少ない場合には症状が出ないこともあります。
心室で起きる頻拍です。心筋梗塞や心筋症、弁膜症などの心臓の病気が原因となることが多く、心臓の病気を有さないものは特発性心室頻拍として区別されます。上室頻拍同様、心拍数や症状はさまざまです。心室頻拍では動悸だけでなく、心拍出の低下によって意識が遠のくことがあります。元々、重度の心疾患を有する症例では、突然死を生じる可能性もあり注意が必要です。
解説:長谷部 秀幸
静岡済生会総合病院
不整脈科科長
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