済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2020.09.30
人の聴覚は、鼓膜・耳小骨(音を伝える骨)を伝わってきた音が内耳の感覚細胞を振動させて、電気信号となり脳まで伝わることで成り立っています。加齢性難聴は、音を電気信号に変える内耳の感覚細胞が年齢により減少していくために生じるといわれています。
年齢とともに、音が聞こえづらくなります。一般的には、高い音から聞こえが悪くなります。この高い音は体温計の音のような電子音(4~8kHz)なので、初期にはあまり聞こえにくさを自覚することはありません。しかし、徐々に会話や日常生活で使う音の高さ(1kHz前後)の聞こえも悪くなるので、難聴を自覚することが増えていきます。さらに、難聴により脳への電気信号が減ることで脳が興奮し、ジージー、キーンといった音に代表される耳鳴りを自覚することもあります。
聴力検査が必要です。ヘッドホンで音の高さごとの聞き取りのレベルを測定し、難聴の程度を評価します。
残念ながら、一度失われてしまった内耳の感覚細胞を再び元に戻す方法はないのが現状です。しかし、補聴器を使うことで、生活に必要な音を聞き取れるようにすることは可能です。静かなことに慣れてしまった脳が補聴器の音に慣れるのは大変ですが、近年、「聴覚リハビリ」が注目を集めています。医師の指導のもと、3カ月補聴器を使い続けることで難聴になってしまった脳をトレーニングし、最終的に脳が音に慣れることで、うるさくなく聞き取れるようになるという治療法です。
職場等の健康診断で行なう聴力検査で難聴を指摘された人は、耳鼻科を受診し精査することををおすすめします。また、日常生活で聞き取りにくい場面が増えてきたと感じる人も、耳鼻科での聴力検査を受けましょう。
難聴の予防として、以下の三つを心がけましょう。一つは生活習慣病(高血圧、糖尿病等)を予防する食生活・運動を行ない、病気があればしっかりと治療を受けることです。二つ目は禁煙です。三つ目は、生活の中でうるさい音を避けることです。
近年、「ヘッドホン難聴」といううるさい音に関する難聴が注目を集めています。ヘッドホン難聴とは、ヘッドホンなどを利用し、大きな音で音楽を聴くことで難聴を生じるものです。スマートフォンや携帯音楽プレーヤーの普及により、特に若年層に多くみられます。音楽を聴く時間は1週間に40時間までとし、音量に注意するよう推奨されています。
また近年、難聴と認知症は関係することが明らかになってきており、難聴を予防することで認知症も予防できるのではないかと期待されています。
解説:清水 良憲
福井県済生会病院
耳鼻咽喉科主任部長代行・副部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。