社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2020.09.30

加齢性難聴 (老人性難聴、老年性難聴)

presbyacusis

解説:清水 良憲 (福井県済生会病院 耳鼻咽喉科主任部長代行・副部長)

加齢性難聴はこんな病気

人の聴覚は、鼓膜・耳小骨(音を伝える骨)を伝わってきた音が内耳の感覚細胞を振動させて、電気信号となり脳まで伝わることで成り立っています。加齢性難聴は、音を電気信号に変える内耳の感覚細胞が年齢により減少していくために生じるといわれています。

加齢性難聴の症状

年齢とともに、音が聞こえづらくなります。一般的には、高い音から聞こえが悪くなります。この高い音は体温計の音のような電子音(4~8kHz)なので、初期にはあまり聞こえにくさを自覚することはありません。しかし、徐々に会話や日常生活で使う音の高さ(1kHz前後)の聞こえも悪くなるので、難聴を自覚することが増えていきます。さらに、難聴により脳への電気信号が減ることで脳が興奮し、ジージー、キーンといった音に代表される耳鳴りを自覚することもあります。

加齢性難聴の検査・診断方法

聴力検査が必要です。ヘッドホンで音の高さごとの聞き取りのレベルを測定し、難聴の程度を評価します。

加齢性難聴の治療方法

残念ながら、一度失われてしまった内耳の感覚細胞を再び元に戻す方法はないのが現状です。しかし、補聴器を使うことで、生活に必要な音を聞き取れるようにすることは可能です。静かなことに慣れてしまった脳が補聴器の音に慣れるのは大変ですが、近年、「聴覚リハビリ」が注目を集めています。医師の指導のもと、3カ月補聴器を使い続けることで難聴になってしまった脳をトレーニングし、最終的に脳が音に慣れることで、うるさくなく聞き取れるようになるという治療法です。

職場等の健康診断で行なう聴力検査で難聴を指摘された人は、耳鼻科を受診し精査することををおすすめします。また、日常生活で聞き取りにくい場面が増えてきたと感じる人も、耳鼻科での聴力検査を受けましょう。

難聴の予防として、以下の三つを心がけましょう。一つは生活習慣病(高血圧糖尿病等)を予防する食生活・運動を行ない、病気があればしっかりと治療を受けることです。二つ目は禁煙です。三つ目は、生活の中でうるさい音を避けることです。
近年、「ヘッドホン難聴」といううるさい音に関する難聴が注目を集めています。ヘッドホン難聴とは、ヘッドホンなどを利用し、大きな音で音楽を聴くことで難聴を生じるものです。スマートフォンや携帯音楽プレーヤーの普及により、特に若年層に多くみられます。音楽を聴く時間は1週間に40時間までとし、音量に注意するよう推奨されています。
また近年、難聴と認知症は関係することが明らかになってきており、難聴を予防することで認知症も予防できるのではないかと期待されています。

清水 良憲

解説:清水 良憲
福井県済生会病院
耳鼻咽喉科主任部長代行・副部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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