2013.02.01 公開
2025.06.30 更新

うつ病

Depression

監修:仁王 進太郎 (東京都済生会中央病院 心療科 部長)

うつ病はこんな病気

うつ病は、精神疾患の一つで、気分障害という分類に含まれます。病気、失業、退職、別居、離婚、引っ越しなど、生活や環境の変化によって発症することが知られています。うつ病の人の脳内では、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の伝達がスムーズに行なわれず、さまざまな症状が現れます。まず、気分が落ち込み、意欲が低下し、日を追うごとにつらい気持ちが強くなっていき、仕事、家事、勉強など日常生活に障害が生じます。さらに、何事にも悲観的になり、自分の存在が周囲に迷惑をかけ、生きていても仕方がないと、自殺念慮を持つこともあります。少しでも早くうつであることを知って治療することが大切です。

また一般的に知られているうつ病では、寝られない、食べられないという症状がよく見られますが、逆に、過眠や過食とともに、気分の落ち込みや興味の消失といった抑うつが表れる方がいます。従来のうつ病の特徴に当てはまらないそうした状態は「非定型うつ病」と呼ばれます。

うつ病の治療法

うつ病の治療は抗うつ薬による薬物療法が中心になっています。よく使われる薬剤は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの新規抗うつ薬です。セロトニン、ノルアドレナリンに対してピンポイントで働きかけるため、従来の薬剤より副作用が少ないのが特徴です。抗うつ薬を飲む上で重要なことは、医師の指示にしたがって使用法と用量を守ることです。薬の効果が現れるまでには個人差があるため、自己判断で中止したり、減量したりしないことが大切です。

早期発見のポイント

1.  気分が沈んで、いつまでも回復しない
2. これまで楽しんでやっていたことが楽しめない
3. 食事がとれない
4. 睡眠がとれない
5. 動作が鈍くなったり、イライラしたり、落ち着きがなくなったりする
6. 疲れやすい、やる気が出ない
7. 自分を責める
8. 考えがまとまらず、決断できない
9. 自分を傷つけることを考える

うつ病は、さまざまな症状が現れても、本人も周囲もなかなか気づきにくい病気です。うつ病の症状が、頭痛や肩こり、胃痛など身体面に出ると、それに気をとられて精神面の症状に注意が向かないことがあります。気分が沈む、ふさぎ込む、興味がわかない、楽しめないといったうつ症状や不安感が続いて、その状況から抜け出せなくなります。意欲が失せてくると、周囲の物事に対する興味や関心が薄れ、集中力や決断力がなくなっていきます。

また、眠っても数時間で目が覚め、そのまま眠れなくなります。ですから朝の気分がとても悪く、何もする気になれません。しかし、夕方を過ぎるころになると、比較的気分が楽になります。ただ「明日こそは頑張れる」と思って寝ると、翌朝はまたつらくなっています。
会社に行くのが億劫になったり、学校を休みたくなったりすると、自分は怠け者とさえ思えてきます。そんな状態を見て、周囲が叱咤激励すると、疲労がどんどんたまって憔悴していきます。

うつ病かなと思ったら

周囲がうつ病の症状を見つけるためには、いつもとどこか違う、ということに気づくことが大事なポイントです。頭痛などの身体症状や睡眠状況、食欲のほか、口数が少なくなった、つき合いが悪くなった、遅刻や欠勤が増えた、仕事が遅くなった、ミスが増えるようになったなど、日常の様子からうつ症状に気づくことができます。
うつ病になったら、頑張ろうとしないで、休養することが基本です。励ましの言葉は逆に負担になったりしますので禁物です。周囲は焦ることなく、ふだんと同じ態度で接することが大切です。

予防の基礎知識

うつ病を予防するためには、疲れやストレスをためすぎないようにすることが肝心です。うつ病という病気はよくなったり、悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復に向かっていきます。すぐによくならなくても根気よく治療を続けることが大切です。
また、自殺の可能性が高い人には入院が必要になる場合もあります。周囲の人は、患者に対して生きていることが一番大切というゆとりと安心感を与え、適切な治療を受けられるように支えましょう。

監修:仁王 進太郎
東京都済生会中央病院
心療科 部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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