2015.08.14 公開

心臓弁膜症

Valvular Heart Disease

解説:石橋 一哉 (京都府病院 循環器内科部長)

心臓弁膜症はこんな病気

心臓は全身に血液を送り出すポンプですが、血液の流れが一方通行になるように、心臓の中には4つの弁(大動脈弁:だいどうみゃくべん、僧帽弁:そうぼうべん、肺動脈弁:はいどうみゃくべん、三尖弁:さんせんべん)があります。それぞれの弁は、心臓が1回拍動するたびに1回開いたり閉じたりしています。これらの弁が正常に機能していれば、効率よく血液を全身に送り出すことができます。しかし、弁の機能に大きな異常をきたすと、全身に十分な血液の量を送り出すことができず、心不全を引き起こすことになります。これらの弁の機能異常の総称が心臓弁膜症です。

心臓の構造
心臓の構造

弁の機能異常は、大きく分けて2種類あり、弁がきっちりと閉じない場合(閉鎖不全症、逆流症)と開かない場合(狭窄症)があります。心臓の中の4つの弁にそれぞれ2種類の異常があるので、合計8種類の弁膜症が存在します。
原因は、加齢による弁の硬化であることが多く、そのほか、先天性のもの、原因不明の腱索断裂(けんさくだんれつ/弁に付着しているひも状のものが切れること)によるもの、抜歯後に多い感染性心内膜炎や虚血性心疾患(狭心症心筋梗塞)に伴うものなどがあります。さらに、心房細動拡張型心筋症から心房や心室が拡大し、弁が閉じきらなくなる場合などもあります。

弁の機能異常
弁の機能異常

石橋 一哉

解説:石橋 一哉
京都府病院
循環器内科部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。

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