済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約67,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、404施設・435事業を運営し、67,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
40都道府県で、病院や診療所などの医療機関をはじめ、高齢者や障害者の支援、更生保護などにかかわる福祉施設を開設・運営。さらに巡回診療船「済生丸」が瀬戸内海の57島の診療活動に携わっています。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2013.10.15 公開
肝臓の病気にはさまざまなものがありますが、どの病気も治癒しないまま経過が長引き、慢性状態で進行すると、最終的に肝硬変へと進展します。炎症が長期にわたって続き、肝細胞の破壊と肝臓の繊維化が起こる結果、肝表面がゴツゴツと硬くなり、凹凸状の様相を呈します(凹凸不整)。この状態が肝硬変です。患者数は全国で40~50万人いると推定され、そのうち約7割が男性といわれています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、たとえ肝硬変になったとしても、その初期には生き残ったほかの肝細胞が代替機能を果たすため、自覚症状がほとんどありません(代償期)。病気がかなり進行した段階で初めて、黄疸(おうだん/皮膚が黄色くなる)や腹水がたまる腹部膨満、異常行動や昏睡を引き起こす肝性脳症、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)破裂による吐血などの肝不全症状が出現するようになります(非代償期)。
身体の表面上に現れる症状としては、親指の付け根付近などの手のひらが赤くなる手掌紅班(しゅしょうこうはん)や、前胸部にクモが足を広げたような毛細血管の拡張がみられるクモ状血管腫、男性の乳房が女性のように大きくなる女性化乳房(じょせいかにゅうぼう)、へそを中心に放射状に血管が拡張する腹壁静脈怒張(ふくへきじょうみゃくどちょう)が知られています。しかし、これらは必ずしも肝硬変初期の頃に見られる症状ではありません。
肝硬変は、医師による身体診察のほか、血液検査、腹部超音波検査などから総合的に診断されます。正確な診断を行なうため、細い針を肝臓に刺して肝組織を一部採取し、顕微鏡で調べる検査(肝生検)が必要なこともあります。
肝硬変の原因は、欧米では飲酒によるケースが多いのですが、日本では肝炎ウイルス感染によるものが多く、C型肝炎ウイルス(HCV)が約60%、B型肝炎ウイルス(HBV)が約15%を占め、アルコール性肝硬変がこれに続きます。そのほかに自己免疫異常、胆汁うっ滞(胆汁の流れが停滞した状態)、慢性心不全なども原因となります。さらに、最近肥満や糖尿病など生活習慣病を基盤にして発症するNASH(非アルコール性脂肪肝炎)から、肝硬変へと進展する例があることが知られてきました。
肝硬変になると、肝がんが発生する危険性が高まります。特に、HCV感染による場合には肝がんの発生率が高くなり、1年に7~8%程度の患者さんが発症するといわれています。肝がんの発生を予防する意味でも、肝硬変になる前にきちんと治療することが重要になります。
解説:長野 具雄
神栖済生会病院
院長代理
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